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狩場と横について。(改)

以前、私は「横狩りについて。」の記事をこのブログに書きましたが、
その記事を書くことになったきっかけは私自身の苦い体験であり、
時間が経った現在、読み直すとどうにも見苦しいものがあります。
そこで、私自身の体験を切り離し、「横」をどう思うかについて
もう一度冷静に書いてみたいと思いました。

今回、拙論を披露し直す機会を与えてくださった風は風にさんには
当ブログの中ではありますが、厚く御礼を申し上げます。
また、リンクフリーとのことなので、勝手にリンクさせていただきます。
メイプル思考

この記事はかなり長いので、要点の部分のフォントを変えてあります。
赤字の部分だけをつまみ食いしてもそこそこ意味は通じると思いますが、
できればじっくり時間をとって読んでみてくださいませませ。



それでは、「横」というものを肯定するにせよ否定するにせよ、
それがどういった成り立ちで、どう定義するべきかをまず考えてみます。
「横」という概念は、どういった理由から生まれたのでしょう?

メイプルストーリーは2D横スクロールアクションRPGですが、
残念ながら、2D横スクロールのアクションRPGは
あまり大人数で一緒に敵を狩るのに向いているとは言えません
というのも、このゲームは2Dを謳ってはいるものの、
キャラクターが動くことの出来る範囲は、マップの地面の上と、
そのわずか上をジャンプで跳ぶ程度のものでしかありません。
つまり、地面すれすれの1Dでしかキャラクターは活動できません。

200802kariba00.jpg
↑横スクロールRPGの基本的な活動範囲

一方、横スクロールRPGに対し、俯瞰型RPGもあります。
横スクロールはキャラクターを横から見た様子を画面にしますが、
俯瞰型はキャラクターを上から見た様子を画面にします。
最も大きな違いは、キャラクターの活動範囲です。
こちらのキャラクターも地面の上を走り回ることしかできませんが、
横スクロールと違い、地面の表現が1Dではなく2Dなので、
キャラクターの行動は画面全体にぐっと大きく広がります。

200802kariba01.jpg
↑俯瞰型RPGの基本的な活動範囲

この違いは、狩りの様相にも大きな違いをもたらします。
キャラクターの狩ることのできる範囲は無限ではなく、有限です。
この点は、横スクロールでも俯瞰型でも変わりはありません。

200802kariba02.png
↑横スクロールRPGの狩りの範囲(模式図)

200802kariba03.png
↑俯瞰型RPGの狩りの範囲(模式図)

(それぞれの図の、狩り範囲の面積は等しいです。)

しかし、マップの中の人が増えてくると様子は変わってきます。
横スクロールの場合、地面に対し1Dの動きしかできないので、
その活動範囲は非常に狭く、嫌でも他の人とすぐに干渉し合います。
また、隣り合う他人の狩り範囲に触れずに移動することは不可能です。
200802kariba04.png

一方、俯瞰型RPGの場合は活動範囲が地面に対し2Dであり、
よほど人が増えない限り、他の人と干渉し合うことは避けられます。
隣り合う他人の狩り範囲に触れずに移動することも十分可能です。
200802kariba05.png

メイプルストーリーも一概に地面に対し1Dとは言えず、
足場が何段もあってそれなりの広さを確保できる狩場もありますが、
そういった狩場は湧きが不安定で好まれる傾向になく、
基本的に地面が一枚岩で足場が1段だけの狩場が好まれます。


なお、横スクロールや俯瞰型といった言葉が分かりづらければ、
次のようなマップで敵を狩ることを考えてみてください。

200802kariba07.jpg←TWでこの形のマップを探すのに、3時間かかりました(笑)

上のSSは、一本橋の上でしか活動できない状況です。
メイプルストーリーでは、全てのマップがこの形状だと考えてください。
人が数人集まれば、互いに干渉することは避けられないでしょう。



そして、メイプルストーリーの経験値やメルの取得量の分配式では、
PTを組むよりも一人で狩った方が得になることがしばしばあります。
また同様に、PTによっても経験値やメルの取得量は大きく異なります。
平たく言えば、他人に足を引っ張られる可能性が高いということです。



以上の2点から、
 ○損をする可能性が高いから、極力他人に干渉されたくない
 ○干渉されたくないから、同じマップにいて欲しくない
という自分の利益を守るための基本姿勢が出来あがります。

また、南菜範さんから、これを裏返す考え方も示唆されました。
 ○損をさせる可能性があるから、他人に干渉をしない
 ○干渉をしたくないから、他人と同じマップにいない
という、他人の利益を守るための基本姿勢です。

利己的か利他的かという点でまったく違う正反対の意味を持ちますが、
要するに、これら2つの基本姿勢は同じことの裏返しです。

韓国では、知らない人同士でも一緒に狩るのが一般的であるのに対し、
日本では、知らない人に極力干渉しないというルールが一般的になった背景には、
前者の「自分の利益を守るため」ではなく、後者の「他人の足を引っ張らないため」の
日本人に特有の遠慮深さがあるのではないかと、私は思います。

日本のこのルールのルーツが、利己的な「自分の利益を守るため」という理由ではなく、
利他的な「他人の足を引っ張らないため」という理由であると、何故言うことができるのでしょう?
仮に、「自分の利益を守るため」にこの不干渉のルールが出来たとしたら、
そのルールがあまり普及していない頃は、相手に「出て行け」と言う必要があります。
そんな勝手なルールは猛烈な反発にあい、淘汰されすぐ消えてしまうでしょう。
そのルールが発生したのは、恐らく「他人の足を引っ張らないため」であり、
「相手に遠慮して立ち去る」という控えめな行為が、日本人にとって美徳だったからこそ、
この不干渉のルールがこんなにも普及したのだと思います。

そして、利己的・利他的の両方を合わせた「互いの利益を守るため」という題目を掲げ、
日本での狩場はどんどん閉じたものへと変わっていったのではないでしょうか。
この閉じた世界を壊すと、一般に「横をした」と言われ排斥されてしまうのです。



次に、横の定義をしてみましょう。

狩場を巡る取り決めは自然発生したもので、ネクソン公式の見解はありません。
プレイヤー間での勝手な取り決めである上に、明文化されているものでもなく、
そのため人によって解釈がズレていることが往々にしてあります。

私がメイプルストーリーで遊んできた経験上、狩場の取り決めは大きく分けて
 A.狩場は誰かが占有をする権利を持つ
 B.狩場は誰にも属さず、その場にいる人で共有する
という2つの流儀に分かれています。

Aは「正規」と呼ばれ、Bは「横」と呼ばれることが多いですが、
この呼称のままではAが正しい考え方であるような偏見が含まれるので、
この記事ではAを「占有派」と呼び、Bを「共有派」と呼ぶことにします。

私の知る限り、共有派は基本的にルールを持ちません
横狩りは良いが横殴りはしないとか、狩場をフルに使えてない時だけ共有をするとか、
各々で独自の道徳観を持っている場合もありますが、
占有派のように一貫したルールを課すことはないようです。

一方、占有派はいくつかのルールを自分たちに課しています
そのルールは、先ほど述べた「他人に干渉しないため」のルールですが、
ルール自体は曖昧で明文化されておらず、各人の解釈に依るところが大きいです。
それをあえて明文化してみれば、以下のような6条にまとめられます。

1.狩場は特定のプレイヤーが占有する権利を持っている。(権利を放棄することも可能)
2.狩場の占有者は、その占有権を任意のプレイヤーに譲渡できる。
3.その狩場にいないプレイヤーには、占有権がない。(誰もいない狩場は、誰の占有下にもない)
4.狩場の占有権は、その場にいるプレイヤーの中の先着順で発生する。(誰もいない狩場は、最初に来たプレイヤーの占有下におかれる)
5.狩場の占有者が敵を倒していず、さらに占有者が自分の占有権を主張できないか死亡している場合、占有権を放棄したものとみなされる。
6.狩場において占有者の了承なく敵を攻撃した場合、「横」と呼ばれ排斥される。(了承は事後承諾でも良く、了承をとる際には必ずしもグループを組んでいる必要はない)

多少の例外はありますが、占有派のルールはほとんどこれで説明できます。
また、占有派の中でも、ルールの解釈を巡り小競り合いが起きることがありますが、
これは今回の主題に含まれないので、また次の機会へ譲ります。



さて、以上に見たように、占有派と共有派は相反する思想を持っています。
両者が互いに棲み分けをし、衝突をしないのならば問題は起きません。
しかし、狩場の数は有限で、しばしばトラブルが起きてしまいます。

両者がぶつかり合った場合、占有派はこう思います。
「狩場のルールを守れないなんて、身勝手な奴だ」

一方、共有派はこう思います。
「狩場を自分だけで独占しようだなんて、身勝手な奴だ」

さて、どちらが本当に身勝手なのでしょうか?

このような場合、私は共有派を支持します。
何故ならば、占有派の思う「狩場のルール」は占有派だけのもので、
共有派がそれに従わなければならない理由はないからです。
占有派が言うルールは、自らが自らに課しただけの戒めに過ぎません。
自分のルールを他人にも押し付けようとするのは良くないでしょう。

仮に、ここで占有派が、
「一緒に狩らない方が互いに効率が良くなるのに」
と善意で考えたのだとしても、私は共有派を支持します。
共有派が効率を求めていない可能性もありますし、
仮に効率を求めているのならば、別の狩場へ行くことでしょう。
この占有派の善意は、空回りして余計なお節介になってしまっています。



しかし、実際の事情はそう単純でもありません。
日本のメイプルストーリーでは、占有派が圧倒的大多数を占めているからです。

占有派の主張する狩場のルールはその人の思想に関わらず広く深く浸透し、
「知らなかった」では済まされないほどの強制力を持っています。
そして、何も知らないメイプルストーリーを始めたばかりの初心者は、
早い段階で必ず占有派の主張の洗礼と教育を受けることになり、
「横とは迷惑行為である」という思想を徹底的に刷り込まれています

200802kariba06.png
初心者は、基本的に共有派に近いところにいます。占有派のルールを知らないからです。
占有派のルールを学び、なんとなく占有派になりますが、
占有派が思想のひとつに過ぎないことを知っている占有派は一部です。


単に、ルールのない共有派を原始的な状態、ルールのある占有派を高度な思想と考え、
共有派を思想のない劣ったものとして考えている人もいるでしょう。

ここまでくると、そもそもの思想の対立は失われ、
「横は迷惑行為である」という考えのみが一人歩きを始めてしまいます。
そして、占有派のルールを持つ人、つまりメイプルストーリーの大半の人は、
共有派に横をされると、「迷惑だな」と不快に感じてしまうことでしょう。
ここが共有派の思想を持つ場合のネックになってしまうところです。
他人に嫌な思いをさせてまで、共有の思想は貫くべきではないと思います。



思いやりから生まれたはずの占有派の思想は、いつしか強制力を持ち、
違った思想の人を排斥するための身勝手な思想に変わっています。

自由にゲームを楽しむための共有派の思想は、占有派が増えるに従い、
貫くことで他人に不快な思いをさせてしまう危険な思想に変わっています。

どちらが良い、どちらが悪いと決めることの出来る問題ではないでしょう。

しかし、徹底した占有派のルールの教育を刷り込まれることで、
この天秤を占有派側に傾けている初心者が多数いるのが現状です。

以前に、「横=迷惑行為である、と鵜呑みにすることで納得する」と書きましたが、
これが実は一番の問題であると、風は風にさんのブログを読んで考えを改めました。
「横=迷惑行為である」という構図をよく考えずに鵜呑みにする人が多いことが、
狩場占有派の人数を大きく増やしている現状の原因になっています。
そして、狩場占有の考え方が増えるほどに、共有派の考えは異端となるでしょう。
「横=迷惑行為である、と深く考えず鵜呑みにする人が多いのが問題である」と
認識を改めたいと思います。



最後に、私の好みの話です。

共有派の唱えるルールは、自分の殻に閉じこもるようで私には合いません。
せっかくネットゲームをやる以上、多くの人と交流を持ちたいと思うので、
私の考え方は基本的に共有派に近いものがあります。

しかし、その考えもまた、相手に嫌な思いをさせてまで貫きたくありません。
相手の様子を見て、歓迎されないようならば立ち去っているので、
私の振る舞いは基本的に占有派に近いものがあります。

横をする人は、周りに流されない自分の意思を持っている点が好きですが、
相手が嫌な思いをしている可能性を無視している点が嫌いです。

狩場を占有する人は、自分の思想を他人に押し付けている点が嫌いですが、
自分が嫌だと思うことを他人にせず、全体の調和を考える点が好きです。

何も考えずに横反対を唱える人は、本人に悪気がない点が厄介ですが、
彼らが狩場の占有と共有に思いを巡らせ、自分の思想を持ったときに、
メイプルストーリーを変えてゆく可能性を秘めている点を楽しみに思います。
この記事を読むことで、何も考えずに横を批難していた人が、
占有派と共有派のそれぞれの立場を考えるきっかけとしてくれれば幸いです。
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テーマ:メイプルストーリー - ジャンル:オンラインゲーム

2008.02.12 | | Comments(2) | Trackback(0) | 雑文(*=д=)

コメント

占有派のルールの発生が「美徳」から生まれたことである点を補強しました。

2008-02-12 火 23:54:31 | URL | ほまら #Noq3wCMo [ 編集]

こんな時間に読むもんじゃないなぁ
目が覚めてしまった
書いてることに、一点の傷をつける予知も見当たらない

2008-02-24 日 01:45:28 | URL | 猫 #- [ 編集]

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Author:ほまら

楓サーバで活動中、ねぶくろのギルマスになりました、ほまらです。
魔法使い・日の丸扇子・ムーンライトをこよなく愛し、未だサクチケを使わない、このレベルにしては希有なプレイヤーです。お守りはたまに使います♪
Projectムクヤジを頑張っていますが、ブログ更新は頑張りたくない微妙なお年頃。ちゃんと卒業できるかなぁ……(汗

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